低用量ピル
女性ホルモンである、エストロゲンとプロゲステロンの合剤です。
ホルモン剤を、毎日内服することにより、排卵を抑制し、妊娠しないようにコントロールすることが可能です。飲み忘れがない限り、かなりの率(99.8%)で妊娠を阻止できます。
欧米では、14~35%の女性が避妊法として使用していますが、日本では未だに数%という普及率の低さですが、女性が自らの意思で避妊できる方法として今後日本でも普及していくと思われます。
避妊効果以外のメリット・デメリット
メリット
- 月経周期が規則的に
- 生理痛の改善
- 子宮内膜症の改善
- ニキビの改善
- 月経前症候群の改善
- 長期での内服で卵巣がん、子宮体がん、直腸がんの発症予防になる
デメリット
- 血栓症のリスク(内服していない人の約3倍)
- 脳卒中のリスク(片頭痛のある人)
- 心筋梗塞のリスク
- 吐き気、頭痛、むくみ、乳房の張り など
- 不正出血(特に内服開始1~3か月)
※35歳以上で1日15本以上喫煙する方には低用量ピルの内服はお勧めできません。
※40歳以上の方への新規での低用量ピルの内服はお勧めしていません。
どちらも血栓症のリスクが上昇するためです。
血栓症について
血栓症は小さな血の塊が血管内にでき、そのために様々な症状がみられます。
- ふくらはぎの痛み・むくみ・発赤(通常は片方のみのことが多いです)
- 鋭い胸の痛み、突然の息切れ
- 胸部のおしつぶされるような痛み
- 激しい頭痛、めまい、失神、視覚障害(目のかすみ)、言語障害(舌のもつれ)
- 左右どちらか片方の手足の脱力や麻痺
このような症状を認めた際には低用量ピルの内服を中止しご連絡ください。
血栓症は、低用量ピルの内服をしていない人にでも、起こりうる疾患です。
妊娠中や産後の褥婦さんも血栓症の発症リスクは上昇します。
発症リスクとしては
褥婦さん>妊婦さん>低用量ピル内服中 と言われています。
低用量ピルを内服中は、水分をしっかり摂り、体を動かすように心がけましょう。そして、上記のような症状を認めた際にはすぐに内服を中止し、検査・治療を受けることで、大事に至らない場合がほとんどですので、安心してお使いいただけます。
疑問、質問、不安などをお持ちの方は、お気軽にお声掛けください。
当院で取り扱っている低用量ピル(OC)については料金表をご覧ください。
子宮内避妊リング(ミレーナ・FD-1)
子宮内にリングを入れることにより、受精卵の着床を防ぎ、妊娠の成立を阻止します。
避妊効果は、低用量ピルよりは劣りますが、80~95%くらいと言われています。
ミレーナ
ミレーナには、黄体ホルモンがリングに付加されており、子宮内膜が厚くなることを防ぎ、受精卵の着床を妨げ、また、精子が子宮内に侵入することも妨げます。
FD-1
FD-1は1977年に厚生省から認可され、日本で開発された代表的な子宮内リングです。
合成樹脂でできた、魚の骨のような形で、子宮内での受精卵の着床を妨げる働きをします。
- 挿入のタイミングは、生理開始後経血量の減った4~7日目が適しています。
- 各種検査後に、外来にて挿入可能です。問題なければ、5~10分で終わります。
- 挿入後は1か月後、3か月後、半年後に、超音波検査でリングの位置の確認を致します。
- ミレーナは5年、FD-1は2~5年に一度の入れ替えが望ましいと言われています。
子宮内リングが適している方
- 長期的な避妊を希望している
- 次の妊娠まで長期間空けることを望んでいる
- 出産経験がある(出産経験がなくても使用できます)
- 低用量ピルの内服が面倒である
- 40歳以上で低用量ピルを使いにくい
- 肥満、喫煙習慣があり低用量ピルが使えない
- 肝機能障害、高血圧などの合併症がある
子宮内リングは使用できない方
- 不正出血を認める
- 炎症(膣炎、子宮内膜炎、骨盤腹膜炎など)を認める
- 過去3か月以内に性感染症を罹った
- 子宮奇形や子宮筋腫がある
- 子宮外妊娠の既往がある
- お産後のすぐの方
(子宮の回復後の挿入が適します。お産後3~4か月後を目安にお考えください。)
当院で取り扱っている子宮内リングにつきましては料金表をご覧ください。
緊急避妊薬(アフターピル)
避妊をせずに性交(sex)をした場合や、コンドームが破けるなど避妊の失敗をしてしまった場合、緊急避難的に服用する避妊薬をアフターピルと呼びます。
世界では1970年代の半ば頃より使用されており、大変安全な薬です。
女性ホルモンのうちの黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を成分とした薬剤です。
(一般的治療で使われる黄体ホルモンと比較し高濃度の量を一回で服用します)
服用方法
性交後72時間以内(3日以内)の服用が必要です。
着床後内服では、避妊効果は期待できません!
性交後早期の内服が必要ですので、できるだけ早くご相談ください。
※効果は100%ではありません。適切に使用した場合でもおよそ0.7%に妊娠を防止できない場合があると言われています。
※緊急避妊薬(アフターピル)の副作用は、一時的に気持ちが悪くなる場合があります。その他、まれに頭痛などの報告がありますが、長期間内服するものではなく、重大な副作用はみられません。
服用後の注意事項
緊急避妊薬(アフターピル)が本当に効いたかどうかは、すぐには分かりません。
数日~数週間後に月経があり、初めてわかります。もし、予定生理が一週間以上遅れた場合は妊娠している可能性もありますので、速やかに産婦人科をご受診下さい。
次の生理が確実に確認できるまでは、コンドームなどによる避妊を、必ずするようにしましょう。
※緊急避妊薬をご希望の方は、お電話にてご相談ください。