主な婦人科疾患
当院で診療可能な主な婦人科疾患一覧です。
ささいな症状でも、ぜひお気軽にご来院ください。
生理のトラブル
- 月経痛(生理痛)
- 月経不順(生理不順)
- 過多月経(出血量が多い)
- 過長月経(生理が長い)
- 無月経
- 不正出血
- PMS(月経前症候群)
- など
子宮・卵巣の病気
性感染症
- 性器ヘルペス
- クラミジア頸管膣炎
- 淋菌感染症
- 梅毒
- など
外陰・帯下異常(おりものの異常)
- 細菌性外陰膣炎
- カンジダ外陰膣炎
- 萎縮性膣炎
- バルトリン腺炎
- など
その他、気になる症状などございましたら、どんなことでもご相談ください。
子宮頸管ポリープ
子宮の入り口(頚部)にできた良性の腫瘤を子宮頸管ポリープと言います。自覚症状に乏しく、検診時にたまたま見つかることがほとんどです。細菌感染などによる炎症や出産などによる物理的な刺激、女性ホルモンなどが発生に影響していると考えられています。ポリープが悪性化する可能性は低いと言われていますが、度々不正出血を認める際には摘出をお勧め致します。また、まれに悪性腫瘍である場合もあり、ポリープの状況(急速に大きくなる、視診で悪性の可能性を疑うなど)によっては、切除し病理検査をお勧めする場合もあります。
子宮内膜ポリープ
子宮内に認められる良性の腫瘤を子宮内膜ポリープと言います。過多月経や不正出血を主訴に、超音波検査で見つかることもありますが、無症状の方でも検診時の超音波検査にてたまたま見つかることもあります。これから妊娠をお考えの方の場合、不妊や流産の原因となる場合もありますので、切除することをお勧めいたします。特に症状を認めない場合は定期的な経過観察で問題ありません。良性のポリープと子宮内膜増殖症や子宮内膜癌などの鑑別が困難な場合は、子宮内膜細胞診や子宮鏡検査などが必要な場合もあります。
子宮筋腫
子宮にこぶ状の良性の塊ができた状態を筋腫と言います。特に症状もなく、筋腫があることに気が付いていない人も多く、月経のある女性の4人に1人が筋腫を持っている、とも言われる疾患です。原因ははっきりしていませんが、女性ホルモンであるエストロゲンによって筋腫は大きくなります。こぶのできる場所によって、筋層内筋腫、粘膜下筋腫、漿膜下筋腫と分類されます。筋腫の場所や大きさによって、月経時の出血が多くなり(過多月経)、その結果、気が付かないうち徐々に貧血が進んでしまうこともあります。また、頻尿や便秘の原因になり、妊娠に影響を及ぼす(流産・早産・不妊など)場合もありますので、気になる症状のおありの方は、一度婦人科をご受診ください。
閉経後は、筋腫の大きさは変わらないか、徐々に小さくなることもあります。
根本的な治療としては手術による摘出(筋腫核出術、子宮全摘術)ですが、症状が軽い場合は経過観察のみで問題ない場合も多いです。状況によっては、ホルモン療法により、症状のコントロールも可能です。
子宮内膜症
毎月の月経時に、出血量が多く、強い痛み(下腹痛、排便痛、性交痛など)を認め、この痛みが年々増悪する場合、子宮内膜症が隠れていることがあります。本来子宮内膜にある組織が、卵巣や子宮と直腸のくぼみ(ダグラス窩)、腹膜などで増殖、剥離(はくり)を繰り返す場合、子宮内膜症と言います。
適切な治療をせずに放っておくと、病状が進行し、将来の不妊の原因にもなることもあります。(不妊を主訴に受診された女性の中には、高率で子宮内膜症が認められます。)
早期からの低用量ピルや黄体ホルモン製剤での治療開始により、病状の進行を抑え、症状の改善も期待できますので、増悪する痛みを認める際には一度婦人科をご受診ください。
また、卵巣にできる子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢腫)の中には、悪性化(癌化)も見られますので、注意深い経過観察が必要になります。
子宮腺筋症
子宮内膜に類似した組織が、子宮の筋層内にでき、増殖することで、子宮壁が厚くなり、月経時に強い痛みや過多月経などの症状を来します。30代後半から40代以降に多く、ひどくなると、月経時以外にも強い痛みを生じることもあります。子宮壁の肥厚により、子宮全体が大きく腫大し、妊娠時に子宮が収縮し(お腹がはる)早産の原因にもなることもあります。
女性ホルモンであるエストロゲンが影響するため、閉経まで症状の進行や悪化が見られますが、閉経後には症状は消失します。
根本的な治療としては、手術による子宮摘出ですが、ホルモン療法によってもかなりの症状改善が期待できます。気になる症状を認める際には婦人科をご受診ください。
子宮下垂・子宮脱
加齢や、分娩時の影響などで、子宮が下がってしまい、それに伴う症状(不快感、頻尿、残尿、尿が出にくい、便が出にくい、子宮の先が下着とこすれて出血する、膀胱炎を繰り返すなど)が出現することがあります。
高齢の方だけでなく、30~40代の方でも起こり得ます。恥ずかしくて、誰にも相談もできなかった、という女性が多くみられますが、誰にも起こり得る症状ですので、お気軽にご相談ください。治療により、快適な生活を取り戻しましょう!
子宮癌
◎子宮頸がん
子宮癌のうち約7割を占めるといわれる子宮下部の管状部分の癌で、ほとんどがHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因です。最近は30代後半がピークと言われています。国内では、毎年約1万人の女性が、子宮頸がんにかかり、約3,000人の死亡が報告されています。定期的な検診によって、癌になる前の細胞の変化を見つけることができます。積極的に子宮頸がん検診を受けましょう。
◎子宮体がん
子宮上部、妊娠した時に胎児を育てる部分に発生する癌です。日本の成人女性に増えている癌のひとつです。体がんの発生には、女性ホルモンであるエストロゲンが深く関わっています。出産経験がない、肥満、月経不順がある、高血圧、糖尿病、近親者に乳がん・大腸がんの既往のある方がいる場合、子宮体がんのリスクが高くなりますので、注意が必要です。
子宮体がんは一般的な子宮がん検診としては施行しておらず、まずは超音波検査を行い、必要と判断した際に、子宮内膜細胞診(子宮体がん)の検査を行います。
月経とは違う不正出血や閉経後の出血を認めた際には、すみやかに婦人科での診察をお受けください。
卵巣腫瘍
◎良性卵巣腫瘍(卵巣嚢腫)
卵巣は子宮の左右にひとつずつあり、通常は2~3cmくらいの大きさです。この卵巣にできた良性の腫瘍が卵巣腫瘍です。卵巣は子宮の両側にぶら下がった臓器であり、腫瘍が5~6cmを超えた場合、茎捻転(捻じれ)を起こし、突然の強い下腹部痛が出現します。この場合、鎮痛剤によっても痛みは消失せず、手術が必要となる場合もあります。
卵巣腫瘍は、30cmを超えることもあり、腹部膨満感(お腹が張って苦しい)により見つかることもあります。時には腫瘍の破裂により激痛を生じることもあります。
このように、ある程度の大きさになると、痛み、膨満感、頻尿などの症状が出現することもありますが、腫瘍が小さいうちは、ほとんどの場合が無症状であり、たまたま検診での経腟超音波検査で見つかることも多いです。
子宮癌検診をご受診されます際には、超音波検査もお受けになられますことをお勧め致します。
◎卵巣がん
卵巣にできる癌は、中高年(40~60歳代)を中心に発生する癌と、若い世代(10~20歳代)を中心に発生する癌があります。卵巣がんは初期症状に乏しく、腫瘍が大きくなり、腹水の貯留を認めて初めて、腹部の膨満感、圧迫症状などを認めることが多いです。
残念ながら、卵巣がんには他の癌のような検診はありません。子宮頸がん検診受診時には、ぜひ経腟超音波検査を受けることをお勧めいたします。子宮だけでなく、卵巣に異常がないことも確認できます。超音波検査により、卵巣がんを疑う際には、すみやかに専門病院に紹介いたします。